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Day after the trip
SIDE STORY
- 甲斐編 -

●○●○●○●○  生理の話  ●○●○●○●○
(タイトルからわかる通り、所謂『女の子』ネタです。閲覧注意!)

 

整理用ナプキンがなくなった。由々しき事態だ。死活問題だ。
国内メーカーに心酔しきっていることもあり、マフィアランド行きのスーツケー
スの中に常日頃から愛用しているナプキンを昼用と夜用、各一袋ずつ忍ばせてお
いたため、節約に節約を重ねてなんとか三月は持たせたが、ついにこの時が来て
しまった。
最後の一つとなったナプキンを両手でもってギリギリと握り締めながら部屋の隅
で一人打ちひしがれるその様が世間受けするものではないということに気付いて
はいたけれど、今の己にはどうしようもなかった。
過酷な現実は、それほどまでに理性の糸を擦り切らせていた。

 


「あ、あの、姫様……?」


「どこか御加減でも?薬師をお呼びしましょうか?」

 


己付きの侍女となった千代と恒の言葉に、ちらと顔を上げた後、気不味げに目を
逸らす。

 


「―――――ついに、始っちゃって」


「……何が、始ったのでございますか?」


「、……生理」


「……はぁ、せいり…、でございますか?」


「……月のもの?」

 


どうもピンとこないようだったため、言い方を変えてみれば、二人はとたんにパ
ッと頬を紅潮させ、心得たように頷いて見せた。

 


「―――――畏まりました。すぐに御召し替えを」


「や、今のところ、着物を汚したとか、そういうことはないんだけどね!」

 


弁明じみた言葉を紡ぎながらわたわたと手を振って見せた綱吉は、忙しなく周囲
を見回して人目がないことを確認すると、二人を呼び寄せた。
そして、数十分にも及ぶ責め苦のせいですっかり憐れな姿へと成り果てたナプキ
ンをおずおずと差し出し、使用目的と方法を説明する。

 


「……コレ、さ。俺が今まで使ってた物なのね。下腹部全体を覆う下穿き、前に
二人には見せたことがあるだろ?その中に忍ばせて、膣から出て来た経血を吸わ
せんの。ちなみに使い捨てね」


「―――――まぁ、見事な細工ですこと。斯様な品は初めて拝見致しましたわ」


「手早く、且つ簡単に処置することが出来る辺り、使い勝手は良さそうですね。
……されど」


「うん、大量生産するとなるとまず材料の確保が難しいし、そのための技術もな
い。そもそも、似たような物が作れたとしても、使い捨て目的の物としては手間
も経費も掛かり過ぎる。……君達ってさ、その―――――やっぱり入れてんの?」

 


要するに、タンポンだ。
仄かに色付いたままの顔をそろそろと見合わせてから小さく首肯して見せた二人
に、綱吉は頭を抱えた。
タンポンという存在はあちらの世界にも残ってはいたものの、膣の中に異物を含
ませることに強い抵抗感を覚え、端からナプキン以外の選択肢を持とうとはしな
かったのだ―――――背に腹は変えられぬとは言え、やはり躊躇いはある。

 


「姫様、すぐに慣れますわ」


「始めのうちは……そうですね、やはり違和感はございますけれど、そのまま放
置する訳には参りませんでしょう?」


「そりゃもちろん、垂れ流しにするつもりはないけどさ。……なんつーか、これ
まで自分がどれだけ恵まれた環境にあったか今更ながらに思い知らされたよ。ナ
プキンがないってことは、当然赤ちゃん用のオムツもないってことだもんね。こ
の時代だとおしめだっけ?手洗いで大変だよ、ね……って、―――――あれ?」

 


そこまで言って、綱吉はハッとした。そう、おしめがあったのだ。
手間さえ惜しまなければ使い回しが利くという、究極にエコな代物が。
女性の自尊心を傷付けずに済むデザインを閃いた綱吉は、『か、紙と筆!』と叫
びながら、丁寧に掃き清められている畳を平手でもってバシバシと連打した。
その声に応じるかのように、所用で席を外していたはずの姉妹が、道具一式を持
って足早に現れる(……あの、傍仕え云々は今だけなんですから、死に物狂いで
侍女スキルを上げる必要はないんです、よ?)。
すかさず手を出そうとする千代と恒に構わず少し離れた場所にあった文机をずり
ずりと引き寄せた綱吉は、続けて手早く磨ってもらった墨に筆先を浸し、一気に
筆を走らせた。
際立って上手いという訳ではないが、美術教師仕込みの現代的なデッサン力は、
それでも充分に通用するはずだ。
イメージするのは、余興でもない限りけして穿こうとは思わなかった、かなり大
胆な紐パンである。

 


「下腹部全体を覆うのは、そもそも伸縮性のある生地が作れないから無理だとし
ても、この形なら無理なく作れると思うんだ。色は出来れば汚れが目立たない黒
なんかがいいけど、濃い色なら問題ないだろ。この布の……その、流石の俺も言
い辛いんだけど、股間の部分、そこを二重構造にして、経血を吸い取る物を忍ば
せたいんだ。肌と直接触れ合う部分には柔らかくて浸透性の高い生地を使ってさ、
経血を周囲へと広げず、直接下に伝わるようにすんのよ。自前の下穿きがいつま
でもつかわからないから、もちっと可愛い生地で、普段使いの物も欲しいな!」

 


己との付き合いが長い姉妹は興味津々といった体で手許の半紙を覗き込んでいる
が、けれども、相応に大人しくしている己しか知らぬ古参組はと言えば、もはや
誤魔化し様がないほど更にその鮮やかさを増した両頬を押さえ、絶句した。
厳格な貞操観念を叩き込まれた良家の子女には、些か刺激が強過ぎたか。

 


「……ひ、姫様!それは、それだけはなりませぬっ」


「はしたのうございますよ!」


「普段から素肌の上に直接襦袢羽織ってるだけの人間が
何言ってんの。そっちの方がよっぽど開放的でしょーが」


「「……あぁ」」

 

 

 


結論から先に言うと、紐パン、戦国時代で流行りました。

 

 


END

 

 

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