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~ 注意書き ~



この話は、

Day after the trip- 奥州編 -

のIFネタとなっております。
舞台はBASARA界ですが、本家キャラは面白いほど出てきませんの
で、それを許容することの出来る方のみ、しばしお付き合い下さい。



Day after the trip
- 奥州編 -
●○●○● もしも、ツナ様がうっかりオリキャラと絡んでいたら ●○●○●
- ⑲ -
(サブタイ、山神様の捕らわれ人。お相手は黒脛巾組の忍ですが、諸事情により、
大分忍らしさを失っております。絡め手ならぬ『かわし手』を得意とする厄介な
タイプで、そこはかとなくエロい御仁です。例の如く本番はありませんが、オリ
キャラが相手となりますので、閲覧の際は充分お気を付け下さいませ)
 
 
「ね、姉ちゃん……」

「………」

「姉ちゃんっ」

「………」

「、―――――姉ちゃん、怒ってる?」

「……怒ってはいない。呆れてはいるけど」

「う、うぇっ、ご、ごめんなさ」

「や、ここでお前に謝られてもねぇ……」
 

聞き様によっては酷薄な科白に、鉄砲水などで抉られた小さな岸壁の傍に立ち、
己の顔色を窺っていた喜作少年は、ぐっと口許を引き結んだ。
真白の着物の裾を両の手で鷲掴み、けして泣くまいと気丈に振る舞ってはいるが、
その意気が虚勢であることはもはや一目瞭然である。
石の下に潜んでいた車海老を瞬時に捕らえた綱吉は、手の中で暴れるソレを同居
人手製の魚籠(びく)へと放り込んでから、再び川底を探り始めた。
 

「真面目な話、人柱と生贄とか、そういうのホント要らねぇんだわ。喜作の御両
親の人柄も、村の退っ引きならない現状も理解してるつもりだけどね、本来もう
一つ二つはあって然るべき段階を豪快にすっ飛ばしていきなりガキを押し付けら
れても困るって言うか」

「……俺達じゃ、駄目?」
 

沈鬱な声音に、綱吉はふと顔を上げた。
見れば、なるだけ丁寧に梳かれた髪を頭の後ろで一つ結びにした幼馴染の少女を
身体の片側へと張り付かせたまま、彼がくしゃりと顔を歪めていた。
 

「俺達の命じゃ、村を助けてもらえない?どうしたら村を助けてもらえるの?」

「……とりあえず、いたいけなガキの命を代価に求めるつもりはないな。さしも
の俺も、そこまで腐ってるつもりはないんでね」

「なら、」

「だ・ま・れ。―――――あぁ、ほら。くだらないことほざいてる暇があったら
さっさと手伝え。俺みたいに、川底の石をどかして隙間やら裏やらに隠れてる海
老を集めてほしいんだ。今日の夕餉に使うから」

「……姉ちゃん達の夕餉、今日も御馳走?」

「まぁ、お前等からしてみればそうだろうな。二人とも、どうせこの前の支援物
資以外何も食べてないんだろ?もうこんな時間だし、今夜は泊めてやるよ」

「…、……うん!!」
 

とたんに顔を輝かせた喜作は、着物の裾が濡れることには構わず、大きな水音を
立てながら沢の中へと入って来た。
けれども、一人残された少女はと言えば、嬉々として駆け出した喜作の背を追っ
てとっさに伸ばし掛けた手をおずおずと胸元へと引き戻し、傍目にもわかるほど
派手に震えるだけで、特にこれと言ってポジティブな変化は見られない。
どうやら、彼女には今少し踏み込んだフォローが必要なようだ。
小さく嘆息した綱吉は、そこそこの重さとなった魚籠を喜作へと預けると、彼女
が佇む岸辺へと上がった。
そして、不安定な足場を物ともせずに腰を落とすと、同じ高さから、その黒々と
した大きな瞳を覗き込む。
 

「初めまして、俺は茶々。君は……たず、でいいのかな?」
 

その問いを受け、小さな肩を強張らせた彼女は、しかし、しっかりと頷いて見せ
た。
 

「今の話を聞いていたのなら理解してもらえたと思うけど、明日、君と喜作は御
両親の許に帰ってもらう。二人の覚悟と気概は賞賛に値するけれど、生憎、俺は
ガキの命を捧げられて喜ぶような痛い趣味はなくてね。諸々の事情があって、二
人を此処に置くことも出来ない。まぁ、こうして向かい合ってるのも何かの縁だ。
今夜ぐらいはゆっくり休んでいって」

「……私、死ななくていいんですか?」

「あぁ」

「……お父さんとお母さんのところに、帰れますか?」

「明日の夜にはね。お父さん達と気不味くならないように俺がちゃんと話をする
から、余計なことは考えないで肩の力を抜きなさい」

「……はい、はいっ」
 

その言葉だけでは、呆れるほど頼りない身体を現在進行形で縛っている不安や恐
怖、そして何より緊張を全て拭い取ることは出来なかったが、それでも、こちら
に彼女達をどうこうする意思はないということだけは理解して頂けたらしい。
御山へと足を踏み入れる際、一応身奇麗にはしてきたのだろうが、それまで満足
に洗髪することが出来ずにいたこともあり、くすんで見える彼女の前髪を、おも
むろに伸ばした手でもって適当に整えた綱吉は、先程の喜作のように己の顔色を
一心不乱に窺っている彼女の前で小さく笑いながら、『喉、渇いてる?』と尋ねた。
 
 
 

「水なら幾らでもあるから此処に居る間は遠慮することはないけれど、沢の水を
飲むのは止めた方がいい。綺麗なように見えて、この水だってそれなりに汚れて
るからね。普段は良くても、体力が落ちてる時に水に当たったら命に関わるよ」
 
 
 
 
 
END
 
一言 > あちらでもこちらでも、ツナ様は御子様に縁があったり。人身御供だ
なんて、そんな見当違いな真似をされたら、関わらない訳にはいかないじゃない。
 

 
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