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内容はタイトル通り。

ありがちな世界観となっている関係で馴染みもあるかと思いますが、あくまで
オリジではなく他作品へのトリップを求められる方は、このまま何も言わずに
ページを戻して下さいませー。



ナルツナ子 IN RPG風異世界
- ⑥ -
 
 
綱吉とナルトの二人が意気揚々と当面の住処と定めた街へと帰還を果たしたのは、
あと少しで鐘三つが鳴るであろう時間帯であった。
他の冒険者から言わせてみれば無防備を通り越していっそ自殺願望があるとしか
思えぬ軽装備は相も変わらず目立っており、そのことを飽きもせず揶揄する低脳
な輩も居たが、二人の注意を引くまでには至らない。
しかし、その場に居合わせた面子の中でただ一人、安堵の息を洩らした者が居た。
冒険者登録の際に不審な挙動を見せて下さったギルド職員、エレナ嬢である。
 

「エレナさん、ただいま戻りましたー」
 

依頼品の入った皮袋を掲げながらの綱吉の声掛けに、思わずといった体で腰を上
げたエレナが、カウンターの外へと飛び出してこちらへと駆け寄って来た。
 

「おかえりなさい!無事で何よりでした。貴方達を送り出した後も、私、気が気
ではなくて……怪我はされていませんか?」

「大袈裟な。生憎、俺はドジっ子属性なんて素敵な……もとい美味しいものは欠
片も持ち合わせちゃいないんで、薬草採取程度の依頼でいちいち怪我なんてして
られませんよ」

「貴女のようなお若い方が初クエストとして幻惑の森での薬草採取を選ぶだなん
て、こうして無事に戻った今だからこそ言えることですが、無謀にもほどがあり
ます!」
 

綱吉は苦笑した。
 

「俺の年齢、登録手続きに携わった貴女なら覚えているでしょう。エレナさんが
思う以上に人生経験は豊富なんですけどね」

「……へぇ、その人畜無害な外面利用してつい最近まで平凡人生希求してた人間
の科白とはとても思えねーな。恐れ入る」

「それとこれとは話は別です」

 

意地の悪い笑みと共に茶々を入れてくれた未来の旦那の傍らで見事にそう言い切
ってのけた綱吉は、眼鏡の奥にある瞳へと僅かに不満の色を滲ませたエレナへと
意識を戻し、『それで、この依頼品はどこに預ければいいんでしょう?』と改めて
声を掛けた。
 

「、……あぁ、はい。依頼に関わる品でしたらわたくし共で確認させて頂きます。
証明書を発行致しますので、報酬は買い取り専用カウンターで受け取って下さい。
中を拝見させて頂いても?」

「はい、どうぞ」
 

あくまで気安いノリで差し出した皮袋を受け取ったエレナは、縛り口を開けて中
身を確認すると、控えめに頷いて見せた。
落ち着いた色合いの紅が引かれた唇から洩れるのは、感嘆の息である。
 

「―――――確かに。それにしても、よくこれだけの数を集めましたね。幻惑の
森の入り口付近にあるシギルはほぼ採り尽くしたと聞きましたが……」

「あぁ、も少し奥まった場所にまで足を伸ばしたんで。何度か小さな魔獣と遭遇
しましたけど、ナルトさんが居てくれたんでどうということもありませんでした」

「……そうですか。合わせて十五株ということで、今回の報酬は銀貨二十五枚と
なります。ポイントを加算する作業がありますので、お二人のギルドカードもお
預かり致します」

「はいはい。あ、エレナさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

「先程仰られていた魔獣の素材ですか?それでしたら買い取りカウンターの方に
出して頂ければ」

「や、そのことじゃなくてですね」
 

外套の下、肩から斜め掛けした皮製の鞄の中へと利き手を突っ込み、目的の物を
探し当てた綱吉は、持ち帰る際に土を落として綺麗にしたファンシーな球根を掲
げ、『植物図鑑には載ってなかったような気がするんですけど、コレ、なんの球
根かわかりますか?』と尋ねた。
小首を傾げた彼女は、『失礼します』と断りを入れてその球根を手に取ったが、し
かし、すぐにこれでもかと言わんばかりに目を丸くし、悲鳴じみた声を上げた。
 

「……ま、まさか、そんなっ」

「エレナさん?」

「サワダさん、貴女、コレをどこで―――――あぁぁ、
すみません。お二人とも少しお待ち頂けますか?
マスター!!マスター!!?」
 
 
 

………あれ?
 
 
 
 
 
END
 
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